ハープシール(1999年3月7日)
「タテゴトアザラシにはどこに行けば会えるのですか?」という質問がときどき寄せられます。観光案内のことろでもふれていますが、タテゴトアザラシの生態域は北大西洋から北極海にかけて、冬になると、プリンス・エドワード島、マグダレン諸島近くの氷海までやって来て、出産と子育てをしています。
雌アザラシたちは2月28日前後の決められた時期に、一斉に子をこの世に産み落とします。多くの人は「嘘だぁ〜」とが疑いますが、これって正真正銘の事実、自然の摂理って実に不思議です。
毎年3月1日にタテゴトアザラシの赤ちゃんを観測するツアーが解禁になります。かつて僕はそのツアーに便乗し、写真を撮っていました。でもここ数年、例のエルニーニョの影響で海に張る氷が薄く、ツアー自体がキャンセルになることが多いため、参加を見合わせているのです。
たとえ東京にいても、やはり2月28日のことが気になります。ちなみにその日僕は何をしていたかというと、地下鉄に乗って現像所に行き、友達と昼を食べ、編集プロダクションに写真を届け、山手線と三田線を使って板橋へ戻り、銀行で振り込みをし、100円ショップで買い物をして……と、実にありきたりな一日でした。そう、僕がそんな生活をしている時に、セントローレンス湾の氷海では何万頭ものタテゴトアザラシが「生を受けている」のです。冷静になって考えてみればこれってすごいことですよね。
タテゴトアザラシの出産など、地元の人は誰一人として意識していません。でも自然界がすぐ目と鼻の先にある北米は、日本の田舎と同じように、人が生活するにはやっぱりいい場所だよな〜と感じてしまうわけです。
ちなみに今日は3月7日、生まれてからちょうど一週間が経過しました。大福餅のようにぷくぷくと太った可愛らしい赤ちゃんはちょうど乳離れをする頃。もし晴れていれば、氷上で日向ぼっこを楽しんでいることでしょう。来週には白い毛が抜け、同時に泳ぎを覚えます。そして20日を過ぎると亜成獣となり親離れ、北の海へ旅立って行くのです。
う〜ん、僕もセッカチだけど、アザラシたちも相当セッカチ。