竪琴アザラシ 冬、カナダ東岸のセント・ローレンス湾が流氷で埋め尽くされる時期になると、この海域に何十万頭もの竪琴アザラシの群れが出産と子育てのために集まってきます。2月下旬、母親は一斉に子を産みます。生まれたばかりの赤ん坊は黄色い毛皮に包まれ、体重は10キロほど、しかし脂肪分の高い母乳によってすくすくと成長し、雪や太陽光に漂白されたかのように体毛が白く変化していきます。大福餅のように太った赤ちゃんアザラシたちに出会えるのもちょうどそのころです。そんな可愛さも束の間、やがて10日もすぎると白い体毛が抜けはじめ、氷が解け出す3月下旬には北の海へ旅立って行きます。
ぼくはその年、かねてからの念願であった竪琴アザラシを取材する機会にめぐまれ、彼らの成長過程を観察し写真に撮って数週間をすごしました。今までカナダの風景を中心に写真を撮ってきた自分にとって、厳しい野生のなかで暮らすアザラシの撮影はとても新鮮で驚きに満ちていました。そのとき受けた感動を少しでも皆様にお伝えしたい……そんな思いでいくつかの写真を発表いたします。赤ちゃんアザラシたちの息吹にそっと触れるような感じで楽しんでいただければ幸いです。
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