カナダ、クリスマス取材記
出発準備はいつも当日の朝からです。あたふたと機材と衣類をバッグに詰め込み、昼頃に自宅マンションを出て、箱崎からリムジンバスで成田へ向かいました。エアカナダ002便は、1時間遅れで成田を離陸し、約11時間のフライトで無事にトロント国際空港に到着。その後国内線に乗りかえフランス語圏モントリオールへ。空港建物から一歩外に出ると、キーンとする寒気に全身を包まれました。何と外気温はマイナス18度!です。レンタカーを借り、150キロ北のローレンシャン高原へ移動し、定宿にチェックイン。こちらは真っ白な雪国でした。

翌朝から撮影開始です。残念ながら曇り空でしたが、この暗さがいかにも冬っぽくていい感じです。各地を巡り、白い森や凍った湖に積極的にカメラを向けました。今朝はマイナス15度、ううう、それにしても寒いです。カメラの電池は10分たらずでなくなってしまいます。

実は一本、締め切り間近の原稿書きに追われています。イルミネーションを撮影してから宿に戻り、時差ボケの頭に鞭打って、必死になってペンを走らせました。それにしても、今年は時間に追われてばかりの一年間でした。来年はどんな年になるでしょうか……。

3日目、雪降る中、車を慎重に運転しながら、300キロ東のケベックシティへ移動しました。途中、5〜6台の車がスリップし、路肩の雪だまりに突っ込んでいる姿を目撃しました。うち2台はトレーラーで、1台は見事に横転です。すぐに救助に来ると思うのですが、この寒さの中、ドライバーは大丈夫なのでしょうか……。車が動かなくなっても、暖房さえ壊れていなければ生きていけるのです。

秋に宿泊したオルレアン島側のモーテルにチェックイン。オーナーのおじさんは僕のことを覚えていました。何と冬場はさらに5ドルも下がり、一泊たったの39ドルです。ちなみに、近くにあるアンモニア臭が漂うかつての定宿は29ドルでした。この10ドルの差は魅力ですが、やはりこちらの宿の方が快適に過ごせるのです。

ここで働くおばさんは、英語がまったく喋れません。部屋の電話の調子が悪いので、そのことを尋ねてみると、答えはフランス語なのでチンプンカンプン。それでもおばさんは必死になって、身振り手振りで状況を説明してくれます。「11時になったら修理に来るから、それまで待っていて。電話が必要ならばフロントの電話を使っていいわよ」という言葉を理解するまで5分程かかりました。ケベックに来るたびに、フランス語を身につけたいなあ〜と心から思います。

昨日は時差ボケですぐに撃沈してしまったため、今日は珍しく朝にシャワーを浴びました。で、少し濡れた髪で外に出たら、何と一瞬にして凍りついてしまったのです。それもそのはず、今朝はマイナス25度まで下がっています。(外気温は、車についている温度計でわかるのです)

氷点下の中、積極的に風景やイルミネーションにカメラを向けています。防寒具は、6年前に買ったダウンジャケットです。生半可な物では死んでしまうので、ダウンがたんまり入ったマイナス40度までOKという寒冷地仕様の本格的な物を使っています。よって、どんなに気温が下がっても体はポカポカですが、氷点下二桁台の中にしばらくいると、肌の露出した部分、特に顎や鼻先に激しい痛みを感じてきます。でも「撮る」ことが面白くて仕方ないので、時々その痛さを忘れてしまうのです。今日も凍傷になる手前でハッと気づき、大急ぎで車へ戻りました。

写真を撮っていると、地元の人と仲良くなり、ときどき家の中に呼ばれることがあります。そして立ち去る際に別れの挨拶をするのですが、その挨拶は、フランス人の場合、抱き合い頬に軽くキスをします。僕はこれがどうも苦手で、いつもギクシャクしてしまいます。この挨拶がさりげなく出来るようになると、真の国際人になれるのかもしれませんね。

またまた5日間もファーストフードが続いたため、今日は近くのチャイニーズレストランに入り、栄養を補給しました。ヤンチャウフライドライスを頼んでみたら、まあまあの味。明日もここに来るつもりです。でもやっぱり、寒い冬はあたたかいラーメンが食べたいですね。今日は外で写真を撮りながら、ずっと「ラーメン、ラーメン!」と叫んでいました。

マイナス20度くらいになると、雪もキュッとしまるため、それほど滑らなくなるのです。だから注意して車を運転すれば、スリップの心配はいりません。よってカナダでは、どの車も夏と同じタイヤで走っています。スタッドレス、クルミ入りと、タイヤにお金を使うのはきっと日本人だけですね。カナダ人は、タイヤにお金を掛けるという価値観はないのではないでしょうか。

いままでクレジットカードは、ある銀行系のゴールドのVISAでした。別に年会費が高いゴールドなんて持つ必要がないのですが、自動的に海外旅行保険がつくし、最高額が月200万まで使えるので、仕方なしにゴールドにしているというわけです。取材費など、年間150〜300万はカードで支払っているので、お陰様でポイントはガンガンたまります。でも銀行系のカードって、そのポイントでもらえる商品はつまらない物ばかり……。で、ひとまずこのカードはキープしておいて、先日、ついにビューカード(もちろんVISAつきの)を新たに作りました。今回からすべての支払いは、この新しいカードで行っていくつもりでいます。ビューカードはすごくいいですよ。なぜなら、使えば使うほどスイカのポイントがたまっていくからです。100万使えば1万5000円くらいつきます。これだけあればJRを使っての都内の移動は十分、ホント得した気分になりますね。そうそう、ついに始まったJALスイカカードも魅力です。マイレージがスイカに移行できるなんて夢のような話です! 今は乗りかえキャンペーンを行っているので、もしかしたらこちらのVISA付きのカードに変更するかもしれません。

この時期、カナダ人と会う度に決まって言われることがあります。それは、「おまえはクリスマスの時期に、こんな異国の地で何をしてるんだ。家族と一緒に過ごさなくていいのか?」と。そう、カナダ人にとっては、クリスマスというスペシャルデーに、一人で海外に来て仕事をしている日本人がとても奇妙にうつるのですね。僕はそんな質問を受ける度に、「日本ではクリスマスより新年の方が大切なのです」と説明するのですが、カナダ人はわかったようなわからないような……。ちなみに僕は、クリスマスを家族と過ごしたことは一度もありません。来年もすでに別の撮影の予定が入っているので、たぶん無理ですね。まっ、我が家はそれでも全然問題ないのですが……。

ケベックシティのダウンタウンでMr.スティーブ・バラカットと合流し、ランチを一緒に食べました。何かを生み出しているアーティスト同士って、共通の物を持っている気がするので、話がとても盛りあがります。それにしても、近頃、彼の人気はすごいですね。日本でも凄まじい数の女性ファンを獲得しています。先日発売されたCD「ザ・ベスト・オブ・スティーブ・バラカット」も、日本のタワーレコードのインストロメンタル部門で売り上げNO1。彼の生み出す曲は本当に素晴らしいです。まだの人は是非CDをチェックしてみてください。http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A012581/VICP-62896.html

吹雪の中、宿を出発。あ〜こんな状況下、300キロのドライブはシンドイなあ〜と思って車を運転していたら、モントリオール手前で雪がやみ、視界が開けました。よって一安心。ケベックからモントリオールへ行くには、20号線と40号線の二つのルートがあります。どちらのハイウェイも素晴らしいのですが、一つの大きな問題は、モントリオールに近づくと突然空港の案内表示がなくなってしまうということです。空港マークがあるのは、街中と空港側だけです。よって外国人はいつも道を間違え、とんでもない方向へ行ってしまうのです。でも今日は、前回の失敗をよく覚えていたので、すんなりと空港へ向かうハイウェイに乗ることができました。モントリオールの道って本当に複雑なんですよ。

昼の11時だというのに、外気温はマイナス28度!です。レンタカーを返却し、空港ビルまで約2分間歩きましたが、マジで凍え死ぬんじゃないかと思いました。カナダ内陸部は、マイナス45度という日もあるそうです。みんなどうやって生活しているんでしょうね。

空港でチェックイン。1時半の便でハリファックスへと向かいました。

今回も本を5〜6冊持ってきたのですが、夜は原稿書きやイルミネーションの撮影に追われていたため、全然読む時間がありませんでした。今回持ってきた本の中に、「ダビンチ・コード」があります。近頃、日本で人と会う度に、この本のことが話題になります。僕の回りにいる人は、100パーセントこの本を読んでいます。で、飛行機の座席に着いたら早速ひもときはじめましたが、何と隣にいた若いカップルの彼女の方も、分厚い英語のハードカバーの「ダビンチ・コード」を読んでいたのです! この偶然にお互いビックリです。僕は飛行機でも電車でも、隣に来た人とは会話をしない主義ですが、でも今回ばかりは2人と大いに話しが盛り上がりました。

さてその「ダビンチ・コード」ですが、まるでハリウッド映画を観ているようなストーリー展開で、とても面白かったです。多くの人が言うように、一気に読めます。重いのでカナダには上巻しか持ってこなかったのですが、下巻も持って来るべきだったと後悔しました。この「ダビンチ・コード」、当然こちらの書店でも一番いい位置に平積みされています。英語版は何種類もあるんですよ。中には状況説明の写真が何枚もついているスペシャル本もあるんです。思わず買ってしまおうかと思いましたが、僕の英語力では、この難しい本を英語で読むことは100パーセント不可能なので、やめました。

今日の移動日のスケジュールです。まずケベックからモントリオールへ車で300キロ移動。その後、飛行機で2000キロ東へ移動、ハリファックスからシャーロットタウンへ車で300キロ移動……。プリンス・エドワード島の定宿にチェックインした時はふらふら状態、本当に疲れました。。。

ノバスコシア、プリンスエドワード島と、雪が全くありません。気温はプラス2度。カナダ内陸部のケベックから来ると、こちらはまるで南国のようです。近年、カナダ東海岸の11〜12月は、雪が降らなくなってきているのです。今年もたぶんグリーンクリスマスですね。せっかく来たのに残念ですが、今回グリーンクリスマスも撮影しようと考えていたので、実はそれほど気落ちしていないのです。

ラジオのニュースによると、トロント空港はアイスストームのため閉鎖とのこと。3日後、予定通り日本に帰ることが出来るでしょうか?

カナダはカラカラに空気が乾燥しているので、この地に入ると途端に肌があれはじめます。また、近年、どうも体全体から水分が失われてきているようで、このあれが激しさをましつつあります。で、リップクリームは必需品ですが、日本のどこでも100円前後で売っているリップは、まったく効きませんね。僕は、日本の薬局で売っている小さなチューブ式の800円前後の薬用リップを使っています。これ、本当によく効くんです。今では手放せなくなりました。

クリスマス前は、どのお店に行っても凄まじい人です。その波につられてか、サムソナイトのパソコンが入るバッグを買ってしまいました。日本だと1万5千円くらいするのに、こちらでは何と79ドル!でした。これ、前から欲しかったんです。今、とても嬉しいです。

3日後、プリンス・エドワード島からノバスコシア州へ移動しました。もちろんこちらにも雪はありません。ある宿にチェックインすると、オーナー夫妻はすでにかなりのクリスマスモードに入っており、客のことなどどうでもいいような感じでした。「当日は娘の家にいくらから、ここには誰もいなくなるのよ。だから適当にやっていてね。家の物、何でも好きなように使っていいから」と言ってポンと鍵を手渡しくれました。明日あさってと、宿には僕1人です(笑)。さてクリスマスイブの24日ですが、どのお店も午後3時で終わってしまいます。よって、2時頃に大急ぎでスーパーに行き、2日分の食料を買い占め、その後ガソリンスタンドにも立ち寄り、タンクを満タンにしておきました。

クリスマスイブは、何と土砂降りの雨です。風景、イルミネーションと、まったく撮影が出来ないので、宿に籠もり、ひたすら読書をしていました。

帰国日です。何だか悪い予感がしたので、朝3時に起き、5時に空港に行ってみました。すると、乗る予定だった8時半発のトロント行きの便が、2時間遅れ。悪い予感は見事的中です。でも大丈夫、その前の6時発の便で一席確保してもらい、トロントへ向かいました。(8時半発の便が2時間遅れたら、当然直行便に乗り継げなくなるため、トロントで一泊する羽目になります)で、トロント空港で5時間時間をつぶし、11時40分発の成田行きの直行便に乗ることができました。しかし、3日前の嵐の影響で空港全体がゴタゴタしているため、荷物の積み込みや飛行機を滑走路に押し出すトラックの手配に遅れ、2時間半も機内に缶詰状態。3時になってようやく離陸しましたが、成田に着いたのは夕方6時を回っていました。

2週間のクリスマス取材、まさにあっという間でした。クリスマスの本は、1年後に形にするつもりですので、お楽しみに!

おしまい。