秋のカナダ取材記
19:30発のトロント直行便を捕まえるため成田空港へ。今回はやり残した仕事がたくさんあるため、出発間際まで編集者との電話連絡に追われました。便は定刻通り発、約11時間のフライトでトロント着。その後、国内線に乗り継ぎモントリオールへ。すぐにレンタカーを借り、一気に街中を抜けて130キロ先のローレンシャンへ移動。サンジョビットの定宿にチェックインできたのは夜の11時過ぎでした。

初日はゆっくりしているつもりでしたが、時差ボケのため4時に起きてしまい、そのまま朝日の撮影へ突入しました。ついでに各ポイントの紅葉チェックもしてみましたが、州立公園の方はピークでも、町周辺の山々はあと2〜3日必要です。いずれにしても、今年の紅葉は色鮮やかで、とても綺麗です。まさに当たり年です!

州立公園を撮影していると、必ずといっていいほど鹿が出てきます。面白いことになぜか彼らはとてもフレンドリー。2メートル近くまで近づいても逃げません。まるで奈良の鹿のようです。夜、誰もいない湖畔で星を撮影していると、後ろでガサゴソと音がしました。振り向くとすぐ側で鹿の親子が素知らぬ顔で草を食べていたのです! 僕が「わっ」と大声をあげると、鹿も「ドキッ」と驚き、すぐに一目散で逃げていきました。熊じゃなくて本当によかったです。

サンジョビット郊外にあるB&Bが定宿です。客間は4部屋あるので、もちろん他の旅行者も時々宿泊しています。朝食の席では必ず彼らといっしょになるのですが、ここはフランス人が多いため、いつも会話はチンプンカンプン。フランス語の環境の中に身を置くと、もっとフランス語を勉強するぞっ!という気になるから不思議です。

セスナで空撮を行いました。空撮は、パイロットと写真家とのコミュニュケーションが大切です。お互いをよく知るためには、とにかく一度飛んでみるしかないのです。最初のフライトはあまりいい写真が撮れないものですが、案の定、今回もファーストフライトの写真はピンボケやブレが多く、全滅しました。来週もトライするつもり。次はきっといい写真が撮れるでしょう。

この秋、エアカナダと全日空がボーイング747のジャンボを使って、モントリオールへの直行便を飛ばし、わんさか日本人観光客を送り込んでいます。そのため、モントランブランは日本人だらけ。まるで日本の温泉街のようです。大型観光バスが5〜60台連なる光景はまさに圧巻! この時期、この地に日本人が落とすお金は数億円なんですよ。オーロラでブレイク中のイエローナイフもそうですが、ジャパンマネーはカナダの小さな村の経済を動かす力を持っているのです。この現象がいいのか悪いのか……。いずれにしても日本は本当に豊かな国ですね。でも、よくよく考えてみれば、いま元気ハツラツで、お金を持っていて、そのお金をガンガン使っているのは、60歳以上の熟年層です。逆に日本の若者にはパワーがありません。加えて日本は少子化も深刻な問題……。たぶんこれから先、日本というは国はどんどんと衰退していきますね。その事を考えるとくら〜い気持ちになります。

5日目、雨になりました。今日はOFFの日と決め、朝っぱらから宿にこもりました。午前中に急ぎのメールと原稿を片づけ、その後はただひたすら読書です。そういえばこのところ本を読んでいなかったなあ〜と思いながら、まずは真保裕一の『真夜中の神話』を読みました。多少ストーリーに無理があるような気がしましたが、グイグイと読ませる力はさすが真保作品です。一気に読んでしまい、次に別の作家の『グレイデッカー』と『慟哭』を読みました。うん、この2作もなかなかでした。ミステリーは暇つぶしにはもってこいですね。各紙絶賛の『十三番目の奇跡』を読みましたが、どうもこれは話が悠長で退屈。1/3で挫折です。前々から読みたいと思っていた『プラハの春』と『ベルリンの秋』も持ってきました。いまプラハ〜の途中ですが、なかなか面白そうです。

今回もドナウ関係の本をたくさん持ってきたのですが、宮本輝の『ドナウの旅人』も含まれています。もちろんこの本は過去に読んでいるので、今回は再読という形になります。何で読んだことがあるかというと、、、10年程前、ある合コンに参加した時に、隣にいたOLに「ねえねえ、今のOLってどんな本を読んでいるの?」と質問してみたのです。そしらたら彼女から、「この前読んだのは『ドナウの旅人』かな」という答えが返ってきました。翌日僕はすぐに書店に走り、近頃のOL事情を知る意味から、ドナウ〜を買って読んでみた……というわけです。残念ながら主人公の麻沙子は僕好みの女性ではありませんでしたが、近頃のOLたちはこんな感じの女性に憧れているんだなあ〜という感想をその時に描きました。で、10年ぶりに読み返してみると、、、とても面白かったです。この物語で描かれている場所に実際自分が足を運んでいるので、風景がありありと脳裏に甦ってきました。早くヨーロッパへ再訪したいです。

もちろんカナダでも、ATMを使えば、日本の銀行のキャッシュカードを使ってお金が引き出せます。旅慣れた人は、日本の銀行の中では新生銀行が一番いいよ、と言います。なぜなら引き出し手数料が後から戻ってくるからです。僕も新生銀行に口座を作ろう作ろうと思っているのですが、いつもチャンスを逃しています。帰国したら今度こそ作ろうっと。

フランス人の友達がいるのですが、会う度にボーイフレンドが違うのです。フランス人は誰もが本当におさかん。色々な人とつき合う中で、いつのまにか子どもを作っている、といった感じなんです。ちなみにカナダの田舎で暮らす若者たちはどのように彼氏彼女を見つけているかというと、近頃は、出会い系サイトを利用している人も多いみたいです。日本と同じですね。

皆さんからたくさんのメールやお手紙を頂きますが、こちらからお返事する事が出来ず、本当に、本当に、申し訳ありません。たまに、「何で返事をくれないんですか(怒)!」と気分を害されている方もいるようですが、僕は決して無視しているわけではありません。ただ単に、メールの数が多いために、一つ一つにお返事が出来ないだけのことなのです。ご理解いただけると嬉しいです。皆様からのメールやお手紙はすべて僕自身が読んでいます。長文は何度も再読しています。ですから、それでご勘弁ください。実は今日もあるファンの方からメールで「返事くらい書いてよ!」と思いっきり叱られ、同時に人格まで否定され、僕は今、カナダでかなり落ち込んでいます。。。もう、ホームページをやめてしまおうかな。

本や雑誌は発売日が決まっています。余裕を持って行う本作りというのはあまりなく、だいたい発売1ヶ月くらい前から編集者も著者も時間に追われます。で、僕が海外にいる時はどうするかというと、ファイルのやり取りはすべてメールになるのです。今の時代、pdfで全ページのレイアウトが受け取れ、チェックができるんです。だから、海外にいても東京にいる時と同じような環境で仕事が進行していくのです。凄い時代になりました。ただ一つの難点は、海外ではダイヤルアップでの接続になるため、通信速度が遅いということです。受け取れるファイルはせいぜい5メガが限界です。(5メガのファイルでもダウンロードするのに15分は掛かります)。海外でパソコンを使って仕事をするたびに、携帯電話で高速接続が出来ればいいのにな、といつも思います。日本の携帯電話会社3社は、海外での「通話」のことは考えていても、「通信」に関してはおろそかです。でも、海外を仕事場にする人たちが本当に必要としているのは、決して「通話」ではない、「通信」の方なんですよね。ビジネスマンだってみんなそうです。日本の携帯電話をパソコンと直結すれば即ブロードバンド。そんなサービスを果たしてどの社がいち早くはじめてくるでしょうか? 楽しみです。やっぱりボーダフォンかな。

また雨になりました。よって今日は完全にOFFの日と決め、友達と一緒にモントリオールへ遊びにいきました。カナダの大都市に出た時の楽しみは、何と言ってもチャイナタウンの飲茶です。今回も動けなくなるほど食べ、ファーストフードばかりで栄養のバランスが崩れていた体に、健康なエキスを十分注入しておきました。帰り掛け、ラバルにある巨大ショッピングモールに立ち寄りました。とにかく超巨大なんです。この大きさには、日本人はただただ驚くばかり。ツアーのお客さんたちも、観光地ばかりでなく、こんな所に立ち寄ることが出来れば、もっともっと「大陸」を感じることが出来るのにな、といつも思います。

カナダにいる時はもちろん朝4時に起き、朝日の撮影をしています。今朝はマイナス5度まで気温が下がりました。一面真っ白な霜が降り、うっすらと朝靄が漂い、そこに朝日がさしこみ、原色の森を照らし出す……。もうどうにかなりそうなくらい神秘的で美しいい光景でした。まるで中世の絵画の情景です。今朝のこの光景、16年間で目にした「超美景」で、間違いなくベスト3に入ると思います。本当に綺麗でした!

再びセスナに乗り、空撮にトライしました。雲が多く、おまけに風が強く、残念ながらまたまた手応えのある写真を撮ることができませんでした。あと2回はトライするつもりです。ううう、1回100ドルもするので、取材費がどんどん少なくなっていきます。

おばさんに別れを告げ定宿をチェックアウト。その足でコインランドリーに立ち寄り、10日分の衣類を洗濯。その後ハイウエイを西に向かって走り、一気にケベックシティまで移動しました。今日はスピード違反の取り締まりが多く、びっくりです。ポリスが20箇所くらいにいたんじゃないかな。そうそう、この時期、ハイウエイ上をよく黒い毛虫が横断しているのです。タイヤに踏みつぶされないで道路を渡りきる毛虫は、はたして10匹中何匹いるのでしょうか。ハンドルを握りながらぼんやりとそんなことを考えていました。

ケベックシティの定宿は、郊外にある39ドルモーテルです。安くていいのですが、問題は、部屋全体が暗く汚く、おまけにトイレからアンモニア臭が漂ってくる、ということです。いつもチェックインの前にくら〜い気持ちになるのですが、たまたま3軒先にあるちょっといい目のモーテルで値段を尋ねてみました。すると39ドルと同じ値段! 部屋は清潔で、ベッドもふかふかで、異臭もしません。速攻で定宿を変更をしました。あ〜この5年間は一体何だったんでしょうか。

ケベックシティとオルレアン島の秋を精力的に取材しました。今日は一生懸命に仕事をしたなあ〜と、夜に宿でカメラのクリーニングを行っていると、ガ〜ン! 何とシャッターが固定のままでした。つまり露出をしくじったことになり、今日の取材はすべてパーです。まあ僕の人生は失敗だらけなので、こんなことはもう慣れっこ。とりあえず5分ほど落ち込んだ後、さて再取材をどうするか、真剣に考えはじめました。明日はモントリオール2時発の飛行機を捕まえるため、どんなことをしても9時にはケベックシティを出発しなければなりません。その前に1時間ほど再撮影を行うことにしました。

翌日7時から駆け足で再撮影を行いました。その後、20号線を時速120キロで飛ばし、一気に250キロ先のモントリオールへ。モントリオールの街中で渋滞に巻き込まれましたが、出発1時間半前には空港に滑り込むことができました。大急ぎでレンタカーを返却、カウンターでチェックイン。すると係の女性から、「すみません、あなたのシートはありません」と一言。近頃、航空会社はどんどんと勝手に個人旅行者の予約を弾いてしまうのです。特に週末は要注意。ローカル線の便が圧倒的に不足しているのですね。まあ、こんなことはよくあるので、僕は別に驚きも怒りもせず、スタンバイで乗り込むことにしました。そして離陸直前になって1席確保、無事にハリファックスへ入ることができました。

今回の取材期間中も2日間だけ近畿日本ツーリストのツアーに同行し、お客さんたちを案内して回りました。1日目のノバスコシアは快晴、2日目のプリンスエドワード島は小雨まじりの曇り。でもフレンチリバーとケープトライオンは奇跡的に晴れました。夏は別の撮影の仕事があったので僕はそのまま島に残りましたが、今回はお客さんたちと一緒に飛行機に乗ってモントリオールまで移動、空港でお別れしました。

日本の何人もの女性陣から「北米に行くなら買ってきて」と頼まれるものがあります。それはQ10が入った化粧品です。どうやら細胞を活性化させるQ10はシワとりに絶大な効果があるらしく、日本ではかなりのブームになっているとか。でもまだ厚生省の認可がおりていないことから、どんなに欲しくても手に入れることが出来ないらしいのです。で、女性陣から頼まれるたびに、「化粧品を買うのなんか気恥ずかしくて絶対にイヤです!」と断ると、「ニベアだったら男でも買えるでしょ」となおも食い下がってきます。すると今度は逆に僕の方が、「そこまで女性陣を虜にするQ10を一目見てみよう」と興味を持ってしまい、ある日、ウォールマートへ立ち寄った際、早速棚をチェックしてみました。確かにQ10入りの製品はいくつか並んでいました。ニベアでも数種類あったので、思い切って買い物籠へ。購入時、それほど抵抗感はなかったです。北米を訪れているビジネスマンの皆さん、今はアイスワインを買うより、Q10入りの何かをお土産にした方が、女性陣には喜ばれますよ。ちなみに今回のツアーに参加された女性陣も、みんなQ10の事は知っており、ホテルの裏にあるソービーズで「あった!あった!」と大喜びしながらクリームを買い占めていました。でもこれって日本に持って帰っていいのかな? 税関で引っかからないですよね……。

翌日からケベックの取材に入りました。後半はケベック南部、イースタンタウンシップの撮影です。この地方には、ローレンシャン地区より高い山々が連なっているのです。こちらも完全に紅葉のピークは過ぎていましたが、撮影途中に「紅葉の真の美しさは終盤にある!」という大切なことに気がつきました。木々の葉の色が極限にまで熟し、風に吹かれて飛んでいく……。この光景、本当に見事です! そうそう、日本の桜も花の散る頃が一番美しいと言われていますよね。

イースタンタウンシップには、モーテルの数が圧倒的に少ない、という大きな問題点があります。マゴクでは2軒のみ。よって今回も仕方なく、超ぼったくりモーテル(90ドル)に宿泊する羽目になりました。実は5年前に訪れた時もこの宿に泊まったことがあるのです。質のわりにあまりに高かったので、もう二度と泊まるもんか、と思っていたのですが、ついついまた泊まってしまった……。やはり人生は同じ事の繰り返しなのかもしれません。

ケベックシティは確かに美しく魅力的な街ですが、この街に暮らしてみたいと思ったことは一度もありません。なぜなら、年中、観光客があまりに多いからです。これは世界の名が知れたどの街にも言えることですが、あまりに観光客が多いと、街にいるだけで「人疲れ」をしてくるのです。やはり暮らすとしたら、地元の人だけがひっそりと暮らすような街がいですね。今は東欧を検討中です。

取材期間中、食生活は滅茶苦茶なので、よくお腹を壊します。今日も朝と昼にハンバーガー&フライドポテトを食べたのがいけなかった。夕方、車を運転している時に、急にトイレに行きたくなりました。でもこのような時に限って、美しい夕焼けが出たりするのです。案の定、空には見事な夕焼け空が広がりました。さてどうするか。僕の場合、やっぱり撮影の方を優先してしまうのです。それほど写真が好きです。で、苦しさと戦いながらどうにか撮影を終了。その後、時速140キロで田舎道を走らせ、次の街のマックのトイレに駆け込みました。ホッとした後、またハンバーガーとフライドポテトを食べてしまった自分が悲しいのですが……。いずれにしても、取材期間中の滅茶苦茶な食生活、こればかりはどうしようもないのです。でもよくよく考えてみると、1年のうちで3ヶ月以上は、ハンバーガーとフライドポテトを食べていることになります。もしかしてこれって真剣にやばかったりして……。

海外取材ではいつもそうですが、帰国2〜3日前になると「早く日本に帰りたい病」にかかり、どうしてもだらけてくるのです。でも今回は最終日に快晴の青空が広がったため、仕事に対するテンションは高いままの状態でした。ケベックシティの側にあるオルレアン島に入ってみると……、ひぇ〜、もうどうにかなりそうなくらい紅葉が綺麗なのです。木々は原色に燃え、島特有の可愛らしい家々を包み込んでいる……。この秋の美しさは「神様参りました。。。」って感じです。フィルムがいくらあっても足りません! 皆さん、いつか出るであろう?「ケベックの秋」の写真集を楽しみにしていてくださいね。皆さんが人生の中で知らなかった究極の自然の美を、たっぷりとお見せしますので。

紅葉の森の手前で菜の花らしき広大な花畑を発見。たぶん菜の花だと思うのですが、念のため、近くの売店のおばさんに訊いてみることにしました。でもこのフランス人のおばさん、英語がまったく喋れないのです。でもおばさんのフランス語に注意して耳を傾けてみると、どうやらこのような事を言っているらしいのです。「う〜ん、私は花の名前は詳しくないのよ。もうすぐここに別の人が来るわ。たぶん彼だったら知っているはずよ。それとも、あの丘の上にある農家へ行ってごらんなさいよ。あそこで暮らしている住人だったら間違いなく知っているから……」
例え言葉が通じなくても、何となく理解し合える。人と人の関係って、本当に不思議ですね。

20号線を西へ250キロ移動し、モントリオールに入りました。僕は大都市にはあまり興味がありません。ただいるだけで疲れてしまうからです。でも明日のフライトが早いため、仕方なく一泊する羽目になりました。一泊5〜60ドルの安宿は、バスターミナル付近にいくらでもあります。適当なホテルを見つけてチェックインした後、地下鉄で中心街まで行き、デジカメでメインストリートを少しだけ撮影しました。その後、いくつかのショップを見て回り、適当に夕食を食べ、ホテルに戻りました。ふ〜、やっぱり大都市はいるだけで疲れますね。

おしまい。