2003年1月〜
カナダから戻った翌日、引っ越しをしました。18才から東京で生活していますが、これで6度目の引っ越しです。新しいオフィスは江東区です。この地を選んだのに、特に深い理由があるわけではありません。都心に出るのに便利な街や路線をチェックしているとき、たまたま江東区に心に響くマンションが見つかったというわけです。初めての地は怖いから住みたくないというと人もいますが、僕はまったく正反対。右も左もわからないような地だからそこ、ワクワクしてしまいます。

部屋を借りるにあたって特にこだわった点は、「南向き」と「角部屋」です。ジメジメして風通しが悪い場所だと、数万点の写真にカビが生えたり変色したりしてしまうからです。昨年の夏頃から20軒以上のマンションをみてきましたが、「朝から夕方まで燦々と太陽の光が降り注ぎ、全部屋に窓がある」といった好条件の建物をようやく探し出すことができました。

今回借りたマンションにはエアコンがついていたないため、仕方なく新調しました。でも今のエアコンは、ほとんど電気代が掛からないからオドロキです。電気代はリモコンに表示されるのですが、4〜5時間使ってもたったの20円前後。皆さんも省エネ基準達成率114〜120%以上のエアコンを買った方がいいでしょう。かなりの節約に繋がります。

引っ越しをするにあたり、大量の荷物やゴミを処分しました。1年間眠っていた物は、これから先もまず使うことはないだろうと判断し、たとえまだ動く電気製品であっても、思い切って粗大ゴミとして出しました。事前に、ミリオンセラーになった『捨てる技術』を読んで処分する覚悟をしておいたのがよかったのかもしれません。

7個の大きな写真キャビネットがあるため、引っ越しは安い引っ越し業者に頼みました。段ボール箱150個以上、4トントラックの荷台は隙間もないくらいビッシリ詰まりましたが、どうにか3万円以下ですみました。パソコンやカメラ機材、書類などすぐ必要な物は、友人のオンボロ車を借りて2日にわけて運びました。しかし移動途中に車のエンジンが故障。明治通でJAFを呼んでレッカー移動する羽目に。カナダで暮らしている時はレッカー移動はしょっちゅうですが、まさか日本ですることになるとは…。この日、携帯電話には随分と助けられました。かつてホームページでも書きましたが、僕はどちらかというと携帯は嫌いな方です。でも今回ばかりは心から「ああ、携帯を持っていて本当いよかった…」と思いました。

1月19日〜

ニュージーランド取材記
ニュージーランドを訪れるのは初めてです。なだらかな草原が広がり、どこにでも羊がいる……。そんな光景を想像していましたが、羊の姿はあまり見掛けないので驚きました。

この地に来てまず感じたこと。それは「南国だなあ〜」ということです。青空の色や日射しは、以前訪れたことがあるカリブと似ています。いたる所にシルバーファーンと呼ばれる巨大シダがあり、それらも南国らしい光景です。

道路がよく整備されているので、車の運転はとても楽です。イギリスもそうですが、ここニュージーランドでも交差点の大半がロータリー式です。信号機がないので、街中をスイスイと走り抜けることができます。なぜ日本でもこの方式を採用しないのか、不思議でなりません。

トム・クルーズ主演の映画「ザ・ラスト・サムライ」の撮影が、ニュープリマス地区で行われており、この国で生活している日本人はかなりの数、エキストラとしてかり出されているとか。この地が選ばれた理由は、富士山によく似たタラナキ山があるからです。日本の有名な男優女優も長期滞在していました。いずれにしても映画が出来るのが楽しみです。

ニュージーランドは物価が高いので、結構大変です。普通車のガソリンを満タンにすると約45ドル、カナダのほぼ倍です。宿泊料金も高く、モーテルは最低で1泊70ドル以上。30〜40ドルの宿を専門とする吉村にとって、かなり痛い出費でした。

普段僕が日本で使用している携帯電話は、AUのグローバル・パスポートという機種です。ここニュージーランドでも、全国各地で何ら問題なく使えました。音声はとてもクリアです。でも1分間で360円、着信も210円がチャージされます。今回、日本側との連絡はすべて携帯で行ったので、来月の請求額が怖いです。しかし海外で携帯を使う場合、今一番のお勧めの機種は、J-フォン+ボーダフォンのGSM-V66です。60ヶ国以上で使え、通話料は140円前後、かなりの格安です。やはりこれからの時代、ボーダフォンと一つになったJ-フォンがますます注目されてくるのかもしれません。実は僕も真剣に、この携帯の契約を考えています。

すでにニュージーランド滞在5日目、車の走行距離も2000キロを越えています。今だ「たくさんの羊がいる丘」を見ていません。やはり北島で羊と出会うのは難しいのかも。羊探しでこれほど苦労するとは意外でした。

羊はとても臆病な動物です。撮影しようとすると、一目散に逃げてしまいます。6号線でたくさんの羊が草を食む丘を発見。カメラを構え、岩かげからそっと近づきましたが、目が合った瞬間、羊たちは大急ぎで駆け出してしまいました。

観光シーズンだけあって、たくさんの日本人観光客の姿を目にします。そして誰もがギフトショップでおみやげを買いまくっています。海外でおみやげを買う時のコツ、それは、ちょっと外れた場所にある韓国人が経営するギフトショップへ行くことです。そこではすべての商品が5〜10割引で売っています。

最北端の岬、ケープ・レインガに立ち寄りました。灯台の形はいまいちでしたが、とても開放感がある場所でした。海はコバルトブルー、折り重なる白波など、とても美しかったです。

ニュージーランドで最も有名な巨木「カウリ」を見ました。こう近くで目にすると、確かに大きい! オドロキと同時に自然の神秘を感じました。

取材費節約のため、2〜3週間の短期の海外取材の時は、日々の食事は朝昼夜とファーストフードです。しかし、ハンバーガーを3日も続けていると、さすがに体の調子がおかしくなってきます。そんな時、格安レストランに入るのですが、ここニュージーランドではコリアンレストラン(韓国料理)が何軒もあるのでとても助かっています。今日はビビンバとキムチを腹一杯食べ、栄養バランスを整えました。

カナダも日本車が多く走っていますが、ここニュージーランドでは9割以上が日本車です。三菱が人気あるらしく、パジェロをたくさん見掛けます。スバルも人気。トヨタのビッツやホンダのフィット、ニッサンのスカイライン……。きっと日本から新車、中古車がどんどんと輸出されているのでしょう。北米では1台も見掛けないKもたくさん走っていました。HINOトラックとかを目にすると、日本の道を走っているような感覚に襲われます。

1週間後、ネピアティッシュでおなじみのネイピアに入りました。気候は温暖、街中のストリートには背の高い椰子の木が並ぶ、まるでカリフォルニアのような所です。郊外にモーテルは山ほどありましたが、どこも予算オーバーだったため、インフォメーションで1泊50ドルのB&Bを紹介してもらいました。緑が美しい山の屋斜面に建つ一軒家です。オーナーはドイツ人夫妻で、16年前にこの地が気に入り、移住したそうです。夜、ドイツやこの国のことを2時間ほど語り合ったのですが、彼らは「ニュージーランドは自然は美しいけど、ヨーロッパに比べ、建物に文化がない」という意見を持っていました。僕もまったく同感です。

ナショナル・パークからティ・クイティへ抜ける4号線沿いは、緑の丘が連なりそこに羊がいる、とったイメージ通りの光景が広がっていました。ある農場で羊を撮影していた時です。オーナーのおじさんから誘いがあり、農場内を見学していいことになりました。ちょうど羊たちの毛をカットしている所で、思いがけない取材が出来、大満足です。この国に来て以来、羊の写真がずっと撮れず悩んでいましたが、10日目にして思う存分撮影できました。欲しいと思っていることは、必ず向こうの方から近づいてきます。やはり運を掴んでいくためには、自分が行動し続けることが大事なんですね。

この国の延々と連なる緑の丘は確かに美しく目に優しいのですが、でもよくよく考えてみると、大昔はすべて森だったわけですよね。でも、この地に移住した人たちが木々を伐採してしまったわけで……。そのことを考えると少々複雑な気持ちになります。今だ太古の森が数多く残る日本って本当に素晴らしい国なんだなあ〜と海外に出るたびに再認識します。

残り2日間は大都市オークランドに滞在しました。世界中どの場所でもそうですが、僕が大都市に入ると真っ先に行うこと、それは街中のストリートというストリートをただ闇雲に車で走ってみる、ということです。2時間ほどトラフィックの波に揉まれると、不思議と大方の地理が理解できるし、何より道を覚えます。それにしても、ニュージーランド人は、車の運転があらいので驚きです。この地の若者も車のチューンアップが好きらしく、マフラーは必ずと言っていいほど交換しています。交差点で「ブォーン」という大きな音を響かせながら発進する若者たちのスタイルは、日本と全く同じです。

季節は真夏。ずっと晴れが続いており、日中は暑くて暑くて大変です。すでに腕と顔は日に焼けて真っ黒です。今日は車を乗り捨て、3時間ほど炎天下の街中を歩いて撮影しました。年をとるにしたがって、カメラバックの重さが気になるようになってきました。6×4.5を2台、6×7を1台、レンズ7本が入ったカメラバックの重さは20キロ以上です。他の写真家がそうであるように、僕も荷物持ちのアシスタントの必要性を感じていますが、正直な話、人を雇うだけの費用がありません。いずれにしても、重い機材を運ぶという苦労から解放されて、撮影だけに集中したいと常々夢見ています。

帰りの便はソウルのインチョンで8時間の足止めをくらったりして大変でしたが、無事に日本に戻り、翌日からいつも通りの生活をはじめました。疲れは全く感じていません。おそらくオセアニア地区は、時差がほとんどないからでしょう。


2月23日〜
豊橋市、精文館書店でのサイン会、無事に終了しました。雨の中、足を運んでくれた皆様、心より感謝いたします。写真パネル16点は3月2日まで展示していますので、お近くにお住まいの方は是非お立ち寄りください。ポストカードやサイン入り写真集も購入できます。

今年は地方での個展を精力的に行っていくつもりです。今まで個展といえば東京のみでした。もちろん東京以外の地でも開催したいという夢はありましたが、個展には、場所探し、事前の打ち合わせ、写真額の輸送と、かなりの手間と費用が掛かり、そう簡単には開催できなかったのです。でも僕自身が地方でやりたいという想いを強く持てば、自然とたくさんの人が助けてくれるようになり、一歩一歩実現へ向け近づいていきます。生まれ故郷、松本市美術館での個展も、ひょんなことから開催が決まりました。今まで東京の写真展で発表してきたすべての作品を展示し、新作も数点発表する予定でいます。お楽しみに。

出張から東京に戻ると、日々領収書の山と格闘しています。そう、確定申告です。部屋のテーブルと床の上はすべて昨年の領収書で埋め尽くされ、まさに足の踏み場もないほどです。写真の整理や個展の準備など、やることが山ほどあるのに、確定申告のせいで仕事がはかどりません。いずれにしても、今年は3月末までに終わらせるつもりで頑張っています。

毎年あれほど苦しんでいたスギ花粉。今年は何故か花粉症の症状が出ないのです。今年、花粉は飛んでいますか?


3月11日〜
松本市美術館での写真展では、ペンタックスフォーラムと富士フォトサロンで展示したすべての写真を再構成して展示するつもりです。生まれ故郷での個展ははじめてなので、かなり気合いが入っています。

毎週水か木曜日になると、東京から松本へ足を運んでいます。いつも高速バスで行くのですが、松本の3つ手前の広丘・野村で降りると、なんと片道たったの2800円! 昔と比べ随分と安くなりました。今の時期、北アルプスの山々は真っ白に雪化粧しており、快晴の早朝は思わず息をのむ美しさです。子どもの頃はアルプスなんてほとんど意識しませんでしたが、東京で生活していると妙に信州の美に敏感になっていきます。

というわけで、写真展の準備などで多忙です。近頃ホームページの更新が滞っていますが、お許しください。。。


3月18日〜
僕が全国各地で行っているスライド上映会は、文字通りスライドの映写機を使ってスライド写真を見せる方式です。でもここ数年、全国の公共施設や企業から、映写機そのものが姿を消しつつあるのです。代わって登場したのが液晶プロジェクター。パソコンの画面をそのまま投影し、パワーポイントなどのソフトを使ってデジタル化した写真を見せるという、おじさんたちが社内の企画会議やプレゼンなどで使っているアレです。確かにこちらの方が利便性がよく、写真も綺麗に投影されるので、いいことずくめ。(映写中にパソコンのハードディスクが固まったらどうするか、という不安もありますが…)実のところ僕も、スライド映写機からプロジェクターにいつ乗りかえようかと真剣に悩んでいました。しかしこの春、ついに覚悟を決めました。で、今は暇な時間を見つけては、せっせと写真をデジタルデータとしてパソコンに取り込んでいます。でもこれって結構大変……。

東京で借りているマンションは江東区のほぼ中央にあるため、毎日の移動は都営新宿線を使っています。先日、仕事関係の友人と飲んだ帰り道、ついつい電車の中で眠ってしまい、気がついたら終点の駅でした。上りの最終に間に合ったからいいようなものの、タクシーを使ったらかなりの出費です。ちなみに以前住んでいたのは板橋区で、最寄り駅は都営三田線の志村坂上でしたが、終点の西高島平まで行ってしまったことが18年の間で5回もありました。いずれにしても、もっと気を引き締めて生活しなければなりません。それにしても、どうして電車の中は睡魔に襲われるのでしょうか??? 不思議ですね。

写真を届けに知人の事務所に立ち寄ることが多いのですが、そんな時は決まってお茶が出てきます。先日ある事務所に足を運んだら、一瞬のうちにお茶が目の前に出されました。不思議に思い尋ねてみると、何とお茶っ葉を機械で粉末にし、それをお湯で溶かしているとか。つまりインスタントコーヒーと同じ原理です。なるほどなるほど、この方法だと、早いし、ゴミが出ないし、健康にもいいし、何より経済的です。早速、我が事務所でもこの方法を採用することに決め、お茶っ葉を細かく出来る機械を衝動買いしてしまいました。

写真家という職業は、友人や知人からしょっちゅう「結婚式やパーティーなどの写真を撮って欲しい!」と頼まれます。特に結婚式の写真撮影は、年に2〜3回はあります。スケジュールが許す限りそんな仕事を受けるようにしているのですが、たとえどんな撮影であれ、会場内をぐるぐると回りバシバシとシャッターを押している時は、楽しくて楽しくて仕方ありません。もちろん、撮影が終わった後は心地よい充足感があります。やはり「撮る」という行為が根っから好きなんですね。